独仏的クルマ生活

ドイツ車のような奥さんとフランス車のような私のカーライフエッセイ

#49 ピュアテックエンジン

C3と言えば、その奇抜なスタイルと乗り心地がよく話題になりますが、私はエンジンもなかなかの「優れもの」だと思っています

 

びっくりするようなパワーや鋭い加速がある訳ではなのですが、粘り強く回るエンジンで、思わずニンマリするような登坂力や加速感を味わうことができるんですよね

 

このエンジンはPSA(プジョーシトロエングループ)で開発された3気筒1.2ℓターボで、グループのほかの車種にも搭載されています

 

名前は「ピュアテックエンジン」と言って、欧州のインターナショナルエンジンオブザイヤー(1.0~1.4L部門)を2015~2018年まで4年連続で受賞しています

 

    f:id:dfcarlife:20220217192311j:plain

ちなみに2019年以降は排気量別部門から出力別部門に変わってしまったらしいです

 

エンジンスペックは次のとおり

 

【1.2Lピュアテックターボエンジン】

■エンジン種類:直列3気筒DOHCターボ
■排気量:1199cc
■出力:110ps/5500rpm、205N・m/1500rpm
■圧縮比:10.5
■ボア×ストローク:75mm×90.5mm

 

このエンジン、スペックは大したことないんですが、軽量ボディと相まって2.0ℓエンジン以上にグイグイ加速します

 

当時のある評論家さんも試乗リポートでは・・

 

「実際に走らせると想像以上にトルクフルで、発進時など超低回転域でもモリモリと力がわいてくる感覚があり、力強くボディを押し出していく」だそうです

 

「それもガツンとした急な動きはなく、最初はジワリと優しく背中を押しつつも頼もしい」とか・・(私もそう思います)

 

この評論家さんの話では、欧州仕様のMT車だと、0-100km/h加速が10.9秒、最高速は188km/hらしいです

 

この「ピュアテックエンジン」、調べてみると現行エンジンになるまでに、いろいろと変遷があったみたいです

 

それは、先代C3に遡ります

当初2代目C3に搭載されていたのは、最高出力120psの1.6ℓ4気筒エンジンでした

 

BMWと共同開発した「プリンス」という名前のNAエンジンで、これに4速ATが組み合わされていました

 

160Nmの最大トルクを4,250rpmで発生するエンジンは、低回転域からの加速性がよく、とくに3,000rpmの手前からは力強かったそうです

 

その後C3には、新開発の1.2ℓルエンジンが搭載されることになります

 

PSAが次世代を担うエンジンとして開発したもので、「無段階可変バルブタイミング」や「容量可変式オイルポンプ」などの最新技術が取り入れられていました

 

BMWと同じような機能ですね

dfcarlife.hatenablog.com

 

そしてこの時から「ピュアテック」という名前が使われるようになりました

 

新型エンジンの最高出力は82PS、 最大トルクは118Nm

スペック的には従来の1.6ℓから大幅ダウンしているのに、実際にはとても良く走ったとのこと

 

可変バルブタイミングなどにより中低速域でのトルクがアップしたことと、3気筒化でエンジンが軽くなったのも走りに貢献したんでしょうね

 

また3気筒化によってフリクションロスが減って、静粛性や耐久性も向上したとか

「何も言われないで乗ったら4気筒と思ってしまうような印象」だったらしいです

 

ちょっと乗ってみたくなりますよね(ゼニスウィンドウにもちょっと興味あるし・・)

  f:id:dfcarlife:20220218102321p:plain

燃費もアイドリングストップ機構の採用もあって、JC08モードで19.0km/ℓと従来モデルより57%も向上させたそうです

 

まさにダウンサイジングのお手本ですね

「う~ん、やっぱりクルマはエンジンスペックだけでは語れません!」

 

ついでといっては何ですが、この時トランスミッションも「ETG5」というのに変更しています

 

ETGというのは、「エフィシェント・トロニック・ギアボックス」の略ですが、要はオートマチックモード付きのシングルクラッチ5速MTですね

 

評判悪かった4ATやこれまでのシングルクラッチよりはマシだったようですが、それでも発進時はていねいに走り出す必要があったようです

 

そして現行C3(3代目)に搭載されたのが、冒頭の「1.2ℓ PURETECH 3気筒ターボエンジン」という訳です

 

こうやってC3の歴史を振り返ると、今のエンジンは過去に何度も改良を加えながら進化してきたものだったんですね

 

元々中低速トルクを重視したエンジンにターボチャージャーを付けた訳ですから、そりゃ低速トルクがアップする訳です

 

大袈裟に言うと「ディーゼル車に乗ってる?」と思うほど・・

でも、思ったより爽快感もあるんですよね

 

そう感じるのには、現行C3から採用された「アイシン製の6速AT」が大きく影響しているんだと思います

 

    f:id:dfcarlife:20220217193732j:plain

このAT、1速からすぐ2速に変わるので出だしはおっとりしているのですが、そこからは2000回転ぐらいをキープするようなセッティングになっています

 

普通に走る(Sモードにしない)と、シフトアップ回転数は2,500回転ぐらい

いま流行りの多段AT車のようにどんどんシフトアップしないんです

 

たぶんスピードで制御されていると思うのですが、巡航でアクセルを緩めても上のギアに入らないので、再度アクセルを踏むとキックダウンせずに加速を始めます

 

これがまたいいんですよね!

「ふん!」ってギアが下がって加速するのではなくて、そのままグイグイ加速していく感じがいい!

 

高速だと6速2,000回転でだいたい100km/hなんですが、そこからアクセル踏んでも5速に入らずに加速を始めます

 

低速トルクがあるんだから燃費重視のセッティングにしてもいいと思うのですが、そうじゃないところがある意味絶妙ですよね

 

その代わり多段ギアのクルマのようにスムーズじゃないので、乗る人によっては扱いにくいと感じる時があるようです

 

ビンビン回すコンパクトスポーツとも違うし、ディーゼルエンジンを積んだコンパクトクルーザーでもない

 

いろいろ私が表現するより、とにかく乗ってもらうのが一番早いですかね

 

ちなみにシトロエンC3エアクロスやシトロエンC4に搭載されているピュアテックエンジンは130PS、230Nmになっており、燃費も更に良くなっています

 

 

今回ピュアテックエンジンを調べているうちに、何だか3気筒エンジンに興味が湧いてきました

 

   Reihenmotor Drei Zylinder.gif

直列3気筒 - Wikipediaより

 

一般的にガソリン車の場合は、排気量が同じなら気筒数の少ない方がトルクと燃費が向上するんだそうです

またシリンダーの数を減らすことでコストダウンと効率アップになるんだとか・・

 

確かに気筒数が多ければそれだけ部品も多くなるのでコストもかかるし、構造が複雑になればその分いろんなところで摩擦が発生してエネルギーロスが大きいという訳です

 

いわゆるフリクションロスの低減ってやつですね

 

またエンジンがコンパクトになることも大きなメリットだそうです

 

エンジンルームに余裕ができるので、ターボユニットや電子制御装置を設置することも容易になるし、クラッシャブルゾーンを大きく取れることにも繋がる

 

エンジンがコンパクトになるってことは、車両の軽量化にも貢献します

フロントが軽くなるのでハンドリングも良くなり、走りの楽しさにもつながる

 

また各メーカーがエンジンのモジュラー設計を進めていることも理由のひとつだそうです

4気筒エンジンから1気筒をはずすだけで、3気筒にできるってことですね

 

BMWなどはまさにそれで、1気筒500㏄を基準に、3気筒は1.5ℓ、4気筒なら2.0ℓ、6気筒なら3.0ℓという具合

 

PSAのピュアテックも3気筒の1.2ℓエンジンの上は4気筒1.6ℓエンジンですから、まったく同じ展開をしているわけです

 

トヨタも同じで、新型ヤリスの3気筒1.5ℓエンジンとレクサス UXの4気筒2.0ℓエンジンは、ボア・ストロークがまったく一緒なんだとか

 

メーカーとすればエンジンの開発費用を抑えることができるし、リーズナブルな車両販売価格を設定することも可能になります

 

これだけメリットがある3気筒なんですが、4気筒よりも振動があって一時期廃れたことがあるらしいです

 

3気筒って元々偶力振動という回転振動が発生するらしく、排気量の大きい車(高級車)ではこれがない4気筒が主流になったんだとか・・

 

でも軽自動車のように小さな排気量では振動がそれほど大きくないのと、コスト優先のため3気筒が主流になったんだそうです

 

それが近年になって、アイドリング時の不快な振動を抑える工夫(アイドリングストップの採用やエンジンマウントの改良)でまた急速に広まってきたらしい

 

ちなみに直列3気筒で起きるこの振動も、直列6気筒ではまったくなくなるとか

だからBMWのようにシルキーシックスと言われるんですね

  f:id:dfcarlife:20220218105517p:plain

直6にこだわる頑固なエンジン屋、BMW。こだわり続けるBMWのアイデンティティとは? (car-me.jp)より

    

いや~、エンジン(内燃機関)って奥が深い!f:id:dfcarlife:20211026173425p:plain