独仏的クルマ生活

ドイツ車のような奥さんとフランス車のような私のカーライフエッセイ

#132 ホンダ「e-HEV」とは?(2)

 

前々回、ホンダのハイブリッドが徐々に進化して、現在の「e-HEV」になったって話をしましたが・・

dfcarlife.hatenablog.com

 

最新の「e-HEV」はどうなっているのでしょうか?

「e-HEV」の種類

現在の「e-HEV」は、いくつかのタイプに分かれています

コンパクトカー向けの「e:HEV」

1.5LアトキンソンサイクルDOHCエンジン+2モーター内蔵電気式CVT搭載

効率のよいレイアウト、モーターの小型化により、従来の2モーターに比べて幅方向、前後方向に20%以上短縮し、エンジンルームが狭いコンパクトカーへの搭載を可能にしています

搭載しているクルマは「フィット」「ヴェゼル」(2024年3月現在)

ミニバン向けの「e:HEV」

2.0LアトキンソンサイクルDOHCエンジン+2モーター内蔵電気式CVT搭載

「VTEC」と「電動VTC」のバルブコントロール技術によって、走りと燃費、静粛性を高い次元で両立しています

搭載しているクルマは「オデッセイ」「ステップワゴン」(2024年3月現在)

スポーツカー向けの「e:HEV」

2.0L直噴アトキンソンサイクルDOHCエンジン+2モーター内蔵電気式CVT搭載

熱効率に優れたアトキンソンサイクルに直噴システムを採用し、燃料を無駄なく燃焼させることで、走り、燃費、排ガス、静粛性のすべてを向上させています

走行用モーターには、V6 3.0Lに匹敵する高出力・大トルクモーターを採用し、胸のすく力強い加速と上質さを両立しています

搭載しているクルマは「シビック」「ZR-V」(2024年3月現在)

高級セダン向けの「e:HEV」

2.0L直噴アトキンソンサイクルDOHCエンジン+平行軸配置2モーター内蔵電気式CVT搭載

シリーズ最大のパワフルなモーターを搭載し、高トルク高回転のモーターを同軸配置から平行軸配置に変更したことで、モーター走行の最高速度を大幅に向上させています

またモーター走行用とエンジン走行用に個別のギアを設定することで、エンジン走行での低回転レシオが可能となり、高速クルーズに限られていたエンジン走行を市街地でも可能にしています

 

搭載しているクルマは「新型アコード」(2024年3月現在)

リニアシフトコントロール

「e:HEV」の爽快な走りを演出しているのが、車速とエンジンサウンドを連動させる「リニアシフトコントロール」です

今までの「シリーズ・パラレル方式」や「シリーズ方式」のハイブリッドは、アクセルを踏み込んだ時のエンジン回転数と加速Gが連動しないため、爽快な加速フィーリングを得ることができませんでした

CVTみたいにずーっとエンジンが唸ってる、あの感じですね

なので、各社ともエンジン音を出来るだけ小さくする努力をしてきたわけですが・・

最近の「e-HEV」は、車速の上昇に合わせて心地よいエンジンサウンドが盛り上がり、まるで有段トランスミッションのようにシフトチェンジするので、爽快な加速を全身で感じることができます

苦労してエンジン音を消すよりも、積極的に音を出して楽しもう!ってことですな

モーターの加速と連動するようにエンジン回転を緻密に制御しているのと、メーターパネル内のパワーメーターとも連動しているので、加速Gと視覚と聴覚がドライバーの感性にマッチするようになっています

更に「シビック」や「新型アコード」には「アクティブサウンドコントロール」が付いているので、エンジン回転とシンクロした音がプラスされて、もっとリニアで軽快な加速感を味わうことができます

ちなみに、モーターの制御はいかようにも出来るそうで、まるで有段ATに乗っているかのようなシフトショックも作ることができるんだとか・・

シームレスで静かなEV走行もいいですが、軽いシフトショックがありつつ、エンジンサウンドと連動して加速するハイブリッドなんてサイコーかも!

ダイレクトアクセル

「e:HEV」の爽快な走りを実現するため、アクセルペダルを踏み込む足と直結したかのような加速をするのが「ダイレクトアクセル」です

「ダイレクトアクセル」は、バッテリー電力の積極的な活用と、エンジン発電の早期化を組み合わせることで、アクセル操作に対してリニアで力強い加速を実現します

具体的には、加速時に駆動用モーターの性能を引き出すため、バッテリーの出力特性を活用してエンジン回転を瞬時に高め、アクセルの踏み込む量に対してモーターが必要とする電力を瞬時に供給することで、力強い加速を実現しています

減速セレクタ

下り坂で自然に速度が上がるときや、高速道路で前走車との車間が詰まってきたときなど、ICE車ならエンジンブレーキを使いたくなるような場面があります

そんな速度調整を、手元のパドルで操作するのが「減速セレクター」です

エンジンブレーキの替わりに、モーターが発電する際に発生する回生ブレーキで速度を調整するわけですが、「減速セレクター」を使用することで、回生ブレーキの強さを4段階に調整することができます

ちなみに「フィット」や「シビック」などは4段階でしたが、「新型アコード」では6段階まで減速できるようになり、日産「e-POWER」のワンペダル走行に近い減速Gを得られるようになったんだとか・・

まとめ

パラレル方式から始まったホンダのハイブリッドシステムは、環境性能(燃費)を向上させながらも、絶対に「エンジンの良さ」を蔑ろにしない戦略でした

でもそれは、トヨタの低燃費戦略や日産の電動化戦略に比べると中途半端で、ホンダらしさを打ち出せなかったような気がします

しかし「モーターとエンジンの良いとこ取りをすればいいじゃん!」ってなった時から、ホンダ自身が吹っ切れたんじゃないですかね!

ホンダらしい爽快な走りとサウンドを奏でることができるなら、モーターが主役だろうが、エンジンが主役だろうが関係ない!

2020年に改名した「e-HEV」は、「俺たち(ホンダ)のハイブリッド戦略がようやく固まった!」という証だったんじゃないの?(ねぇ、ホンダさん・・)