独仏的クルマ生活

ドイツ車のような奥さんとフランス車のような私のカーライフエッセイ

#78 2022年度新車販売台数(軽商用車部門)

 

この前、2022年度「新車販売ランキング」の記事を書きましたが・・

dfcarlife.hatenablog.com

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今回は、2022年度「新車販売台数(軽商用車部門)」を紹介したいと思います

「軽商用車」と言っても・・

「どこが何を販売しているか全く知らない」&「そもそも商用車なんかに興味がない」

わけですが、「乗用車」に負けないぐらい売れてるモデルがあるし、「販売環境」も独特なので、今回取り上げてみることにしました

軽自動車協会のデータをみると、軽商用車は「トラック」「キャブオーバーバン」「ボンネットバン」の、3つに分類されています

2022年度の販売台数は「トラック」が約17万台、「キャブオーバーバン」が約21万台、「ボンネットバン」が約3万台、といった具合です

「キャブオーバー」とは、エンジンの真上(オーバー)に、運転席(キャビン)があるクルマのことで、「トラック」は基本的にこの構造になっています

【キャブオーバータイプの軽トラック:スズキ・キャリー】

積載スペースを最大限確保出来るため、特に「軽トラック」にとっては、とても効率的なボディ構造と言えます

ただ、前方の「クラッシュゾーン」がほとんどないため、衝突安全性に課題があると言われています

「トラック」と同じキャブオーバー構造で、荷台と運転席が繋がっているクルマ(ワゴンタイプ)を「キャブオーバーバン」と呼びます

【キャブオーバータイプのワゴン:スズキ・ハイゼットカーゴ】

これに対して、エンジンが運転席より前にあり、いわゆる「ボンネット」があるワゴンタイプを「ボンネットバン」と呼びます(軽乗用ワゴンと同じ構造)

【ボンネットタイプのワゴン:ホンダ・N-VAN】

積載効率は「キャブオーバーバン」より落ちますが、その分、衝突安全性は高くなります

「軽商用車」の説明はここら辺にして、さっそくランキング発表に移りましょう!

まずは、一番売れている「キャブオーバーバン」から・・

1位:ダイハツハイゼットカーゴ」    98,839台
2位:スズキ「エブリイ」         60,394台
3位:日産「NV100クリッパー」    26,362台
4位:トヨタ「ピクシス」           8,524台
5位:三菱「ミニキャブバン」         4,686台
6位:マツダスクラムバン」         4,458台
7位:スバル「サンバーバン」         4,394台

1位はダイハツハイゼット、2位がスズキのエブリィで、何と!この2台で全体の3/4以上を占めていますが、実は3位以下も、全部この2台の「OEM車」なんです!

ハイゼット」のOEM車=トヨタ「ピクシス」、スバル「サンバー」

「エブリィ」のOEM車=日産「NV100」、三菱「ミニキャブ」、マツダスクラム

それぞれ名前は違えど、製造はダイハツとスズキが行っているでで、実質はダイハツハイゼット」が111,757台、スズキ「エブリィ」が95,900台売れてるってわけです

以前は、ホンダも「商用バン」を販売していましたが、2018年に販売終了してしまったため、「キャブオーバーバン」市場は、ダイハツとスズキの2社独占となってしまいました

【ホンダアクティ・バン】

ただ、「ボンネットバン」の販売ランキングを見てみると・・

1位:ホンダ「N-VAN」         32,376台

2位:スズキ「スペーシアベース」    10,545台

3位:スズキ「アルトバン」         78台

ホンダ「N-VAN」が、2位のスズキ「スペーシア」に大差をつけて1位になっています

ただ「商用バン」という括りでは、ダイハツとスズキがこの3倍以上売っていますから、やっぱり2強の構図は変わらない、と言えますね

そのダイハツハイゼット」とスズキ「エブリィ(キャリー)」のライバル関係は古く、1960年代から互いに進化し続け、道具クルマとして絶大な人気を誇っています

【初代ハイゼットハイゼットライトバン1961】

【初代エブリィ:スズライトキャリーバン1964】

現在、この2台の積載能力・動力性能・使い勝手・価格帯には、ほとんど差がありませんが、2021年にフルモデルチェンジしたばかりのハイゼットが、安全装備や走りの上質さで、一歩リードしているとのこと

「商用バン」と言えば働くクルマですが、最近はキャンパーの人気も高く、快適装備や色、アクセサリーも充実しているそうです

次は「トラック」の販売ランキングです

1位:ダイハツハイゼットトラック」    89,406台
2位:スズキ「キャリイ」          55,462台
3位:日産「NT100クリッパー」       8,205台
4位:トヨタ「ピクシス」            4,762台
5位:スバル「サンバートラック」        4,163台
6位:三菱「ミニキャブトラック」        2,999台
7位:マツダスクラムトラック」        1,976台
8位:ホンダ「アクティトラック」        388台

このジャンルも、ホンダ以外は、実質ダイハツハイゼットトラック」とスズキ「キャリー」の2大グループが占めています

ダイハツハイゼットトラック」グループが98,331台、スズキ「キャリー」グループが68,642台、ホンダ「アクティ」が388台となって、99.8%をダイハツとスズキの2社で販売しているわけです

ここでお気づきでしょうか?

ダイハツOEMを含むと「ハイゼットカーゴ」で111,757台、「ハイゼットトラック」で98,331台を販売しており、その合計は、な・な・何と210,088台になります

2022年度、日本で一番売れたホンダ「N-BOX」が204,734台ですから、その数字を上回っているわけです

いやいや、軽自動車市場って面白い・・ってか、特異的過ぎます!

なんで、こんな構図になったのか?、

その理由は・・ひとえに「軽商用車は、薄利多売だから」

軽商用車の販売価格は、大体100万円前後から始まりますが、この価格では大量生産でコストを下げなければ、利益を出すことができません

なので、売れない(利益が出ない)メーカーは、徐々に市場から撤退していきました

では・・撤退したメーカーが、なんでOEM車を売り続けるのか?

それはひとえに、顧客を逃がさないため!

軽商用車を買っていた顧客が、新車に乗り換えようとしても、販売するクルマがなければ、他のメーカーに行ってしまいます

ディーラーにとって顧客を逃すということは、商用車以外のクルマを、販売するチャンスも逃すことにもなるわけです

また田舎では、ディーラーの数も限られています

特に農業が盛んなエリアでは「軽トラック」の需要は高く、この顧客を囲い込むためには「軽トラック」の取り扱いをすることは、非常に重要なわけです

最近は「軽トラック」に乗る人も高齢化が進んでいて、「運転支援」や「衝突安全装備」がしっかり付いてるかどうか、が重要なんだとか・・

youtu.be

なかなか値段を上げられないジャンルだけに、益々利益が取りにくくなりますね