独仏的クルマ生活

ドイツ車のような奥さんとフランス車のような私のカーライフエッセイ

#5 テスラ大幅値下げ!

 ご存じのとおりテスラは今年2月「スタンダードレンジプラス」を511万円から429万円に、「ロングレンジ」をなんと655.2万円から499万円に値下げしました

 

 スタンダードプラスで▲82万円、ロングレンジに至っては▲156万円です

    価格競争のイラスト

「えっ!? テスラどうしたの?」

下げるにしても、また大胆なバーゲンプライス!

 

「それまでに買った人はどうなるの?」

「返金してくれるのかね・・、ってそれはないか(^^;」

 

昨年、創業から初めて黒字になったテスラ

モデル3やモデルYなどの投入で、テスラブランドが市場に定着してきたんだろうと思っていたのですが・・

 

報道によると、テスラは昨年5月に北米でモデル3を含む主力車種を一斉に値下げし、最大市場の中国でも値下げを繰り返した結果、前年比36%も販売台数を増やしたらしい

 

「大幅に台数を伸ばした背景には、そんなことがあったのか~」

一方、テスラは日本での販売が低迷していたんだそうで・・

 

日本での出荷台数を明らかにしていないけど、2020年の輸入車の新規登録台数データから推計すると1,884台だったらしい

 

「う~ん、お世辞にも売れているとは言えませんね(^^;)」

日本は中国、アメリカに次いで、一応世界第3位の新車市場ですからね

 

「なので今回の値下げってわけだ」

「でも、ここまで大幅に値下げする必要あるの?」

 

ユーザー側としては値段が下がるに越したはないのですが、ちょっと心配になりますよね(^^;

 

しかし、これには大きな意味があったのです

 

それは価格を並べてみれば一目瞭然!

  価格 航続距離
テスラモデル3(スタンダードプラス) 429万円 448Km
日産リーフ 441万円 458Km
テスラモデル3(ロングレンジ) 499万円 580Km

 こうやって見ると、リーフ+を完全に挟み撃ち

今回の値下げのターゲットは日産リーフ+だったんですね

 

スタンダードプラスなら、リーフ+とほぼ同じ航続距離で10万円以上安く買えるし、もう少し頑張ればEV最高レベルの航続距離のロングレンジが手に入るんですから‥

 

そして、ロングレンジの本当のターゲットは、今年発売予定の日産新型SUV「アリア」なんだそうです

 

アリアの上級グレードには90kwhのバッテリーが搭載される予定で、最大航続距離は610kmになるらしい(ロングレンジの+30km)

 

補助金を含む実質購入費用が500万円からと言う触れ込みですから、モデル3なら補助金なしでも500万円切る値段で買えますよってことなんでしょう

 

最上位モデルの「パフォーマンス」は、元々1,000万級のEVが相手だから、今回は717万円で据え置きになったってわけか・・(^^;

 

これで「大幅値下げのわけ」と、「なぜこの値段なのか」がわかりました

 

ちなみに日産リーフの2020年登録台数は、11,286台

テスラの6倍ほど売れていますが、それでも少ないですね(^^;

 

そう、日本はEVが売れていないのです

 

2020年の日本における全EV販売台数は14,604台

2020年の乗用車販売台数は2,478,832台ですから、EV比率は何と0.6%

 

ヨーロッパではEV販売比率が8%だそうですから、なんと10分の1以下です

なぜ日本ではEVが売れないのか・・、と言うか、逆にヨーロッパではなぜEVが売れているのでしょう

 

一つ目は補助金です

 

日本ではEV購入時に国から出る補助金は最大40万円(2020年12月時点)ですが、ヨーロッパ諸国においては、多いところで100万円近い補助金がでます

 

さらにメーカーが出す補助金もあったりするので、結果的には100万円以上の補助が得られる

 

こうなるとガソリン車との価格差はほぼ埋まりますから、EVが選択肢に入るわけです

二つ目はEVの車種が日本より多いことですかね

 

ヨーロッパ(2020年上半期)で売れたEV(PHEV除く)は以下のとおりです

順位 メーカー 車種 販売台数 日本発売
1位 ルノー ゾエ 36,506
2位 テスラ モデル3 33,164
3位 VW e-ゴルフ 17,639
4位 アウディ e-トロン 13,538
5位 プジョー e208 13,266
6位 日産 リーフ 12,925
7位 現代 コナ 11,527
8位 起亜 ニロ 8,495
9位 BMW i3 8,477
10位 VW e-UP 7,428

日本では売っていないコンパクトEVの品揃えが結構ありますね(^^;

 

やっぱりクルマはリーズナブルじゃないと、ガソリン車だろうとEVだろうと手が出ません!

 

三つ目がメーカーへの罰金制度です

 

EUは2021年の燃費規制により、販売全車平均で走行1kmあたりの二酸化炭素排出量を95g以下に抑えることとしています

 

そして、これが達成できないメーカーには罰金を支払う義務があるのです

 

どれぐらい払うかと言うと、95gから1g超えるごとに95ユーロ(約12,000円)を全販売台数に掛け合わせた金額です

 

すでに「この基準を達成できるメーカーはない!」と言われていますから、各メーカーが罰金を支払うことになるのは確実!

 

じゃあ、メーカーが支払う罰金は一体どれぐらいになるのかと言うと・・

 

一番多いのが、フォルクスワーゲングループで約45億ユーロ(約6,000億円)

二番目がフィアット・クライスラーFCA)で約25億ユーロ(約3,300億円)だそうです

 

すごい金額・・(^^;

ちなみにVWの超過gは1台当たり14.3g、FCAは1台当たり24.8gだそうです

 

逆に超過gが一番少ないメーカーはと言うと、なんとトヨタ

それも1キロ当たりのCO₂排出量が95.1gの予想ですから、超過gはたった0.1g

 

罰金も約1,800万ユーロ(約22億円)の予測です

桁が二つ違います(^^;

 

トヨタがなぜいいのかは別の機会に話すとして、これだけ罰金を払うとなればそりゃ必死になりますよね

 

EVは二酸化炭素排出量がゼロですから、売れば売るほど平均二酸化炭素排出量はどんどん下がります

 

罰金払うぐらいならその分キャンペーン価格に回して、売り上げを伸ばした方がいいと思うのは当たり前ですよね

 

このように、ヨーロッパではアメとムチ政策が行き届いているから伸びているんですね

日本はと言うと、ここまでの政策は取られていません

 

それと、日本ではハイブリッド車が普及しています

 

車両価格もガソリン車に劣らない価格帯で販売されていますし、燃費を気にする国民性の中で、すでにエコカーとして認知され街中に溢れています

 

充電施設や車両価格、航続距離でハイブリッドよりメリットを出さない限り、すぐにEVが市場を取るのは難しいと言えるでしょう

 

その日本でも、今回のテスラモデル3の値下げは大きな反響を呼んだようです

 

値下げしたグレードは想定を上回る販売だそうで、納車時期がこれまでの6-8週間から12-16週間へと変更されたとのこと

 

また、以前なら翌週には試乗ができたらしいのですが、最近は3週間先まで予約が取れない状態なんだそうです

 

そりゃそうですよね

あれだけ値段が下がってリーフと同価格帯以下になったんですから、EVに興味があったお客はテスラに動きます

 

補助金を使えば、スタンダードプラスなら300万円台で購入できます

今あるEV市場を取るには十分な戦略でしょう

 

しかし、まだハイブリッド車の域までは行ってないのも事実

 

日本では日産や三菱自動車が10年以上前からEVを市場投入してきましたが、ハイブリッド車に人気が集中して売れ行きが良くなかったのは前述のとおりです

 

モデル3の売り上げ増で、EVは「安くなったら売れるということが証明された」とアナリストさんは言っているそうです

 

日本の自動車メーカーにとっては「ショッキング」な事態だと指摘しているんだそうですが、果たしてそうなのか・・

 

テスラの値下げによって一気にEVへ注目が集まるのか・・

まだまだこれからの動向を見る必要がありますね(^^;