10年後にはガソリン車が買えなくなります!
「えっ!本当に?」
東京都は2030年以降ガソリンだけで走る新車は販売しないと宣言しました
「ガソリンだけってことは、ハイブリッド車はOKなんだ」
販売できる電動車は、電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)です
「ガソリン車に乗りたい人はどうするの?」
新車の販売が出来なくなるだけで、中古の販売や継続使用は大丈夫です
「良かった~(^^;、でも先々は無くなっていくわけだよね」
排ガス規制以前の車のように、ごく一部の車が残るだけかもしれません
東京都だけでなく、国も2030年半ばを目途にガソリン車販売中止の検討を始めています
「えっ!?東京だけじゃないんだ…」
日本だけじゃなく欧州や中国でも、2025年~2040年にかけてガソリン車やディーゼル車の販売を中止すると宣言しています
またHVやPHEVですら販売しないと言っている国もあります
「日本はまだマシなほうなんだね・・」
しかし日本も将来的にはEVや燃料電池車(FCV)だけになる可能性はあります
「でもEVやFCVを出しているメーカーはまだ少ないよね」
国産EVでは日産リーフと三菱i-MiEV、最近はホンダがHonda-eを出しました
量産FCVでは、トヨタからミライが発売されています
それ以外の車はまだガソリンエンジン搭載の車が多いのが実情です
「じゃあ10年後は、最低でもHV化しないと販売できないわけだ・・」
日本のHV化は、世界と比べるとかなり進んでいます
2017年時点での日本のHV普及率は31.6%で、アメリカの4.0%、ドイツの3.0%、フランスの4.8%などと比べても圧倒的に高くなっています
「なんだ~、さすが日本!」
国産メーカーはHVをベースに徐々に蓄電量を上げてPHEV、EVへと移行して、最終的にはFCVという流れを予測していました
「ソフトランディングな考えだね」
しかしここ数年で、欧州・中国を中心にEV化の動きが一気に加速し始めた
「なんで?」
一つは地球温暖化問題です
あのトランプ前大統領が離脱したパリ協定で、温暖化の原因である二酸化炭素の削減目標が決められ、各国はその目標に向かって動き始めた
「それがガソリン車の販売規制ってわけ?」
もちろん削減対象は車だけではありませんが、車の排気ガスには多くのCO₂が含まれています
例えば日本におけるCO₂総排出量のうち、18.6%が運輸部門から排出されています
「ほう~」
この運輸部門から出るCO₂の約9割が自動車から排出されているのです
「へぇ~」
これはCO₂総排出量の約1/6になるため、削減効果が非常に大きいのです
「なるほど・・」
二つめが世界的なESG投資の拡大です
「何それ?」
ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)を考慮した投資のことを指します
「う~ん?」
これまでは企業の業績や財務状況といった情報が、その企業に投資をするかどうかの重要な材料とされてきました
「いまでもそうじゃないの?」
最近はこの財務情報だけでは、企業の持続性や長期的な収益性をみるには不十分だと考えられるようになっています
「そうなんだ・・」
リーマン・ショック以降、短期的な利益を目指す投資への批判が世界的に高まったことがきっかけとなりました
儲かっている、財務状況が良い、という短期的な見方だけでなく、長期的・安定的に企業が成長できるのかどうかが重要と考えられるようになったのです
「痛い目見たからね(^^;)」
具体的には環境問題の改善、地域社会への貢献、従業員への配慮、法律順守の活動など、ESG課題へ取り組んでいるかどうかということです
「なるほど・・」
いま世界の投資マネーはこのESG投資へ向かっており、ESG課題に取り組む企業は有望な投資先として期待されています
「そっか、EVを作るメーカーは環境に優しい優良企業というわけだ!」
「テスラの企業価値がどんどん上がってるのもそういうことか・・」
自動車メーカーだけではありません
効率のよい蓄電池を開発する会社、再生可能エネルギーを使った発電に取り組んでいる企業などにも世界の注目が集まっています
「そうなんだ・・」
そして三つめが世界の自動車事情です
「まだあるの?」
いま世界で一番新車が売れている国は中国です
「いまビジネスは、中国抜きには考えられないからね・・(^^;)」
2位はアメリカ、3位が日本、4位がドイツ、5位がインドと続きます
「まだ日本も頑張ってるじゃん!」
しかし自動車メーカーの販売ランキングを見ると、1位がフォルクスワーゲン(独)、2位はトヨタ(日)、3位がルノー・日産・三菱グループ(仏・日)、4位がGM(米)、5位が現代自動車(韓)となっています
「さすがフォルクスワーゲン! いろいろあっても1位ですな」
6位が上海汽車(中)、7位フォード(米)、8位ホンダ(日)、9位FCA(伊・米)、10位がPSA(仏)の順番です
「やっぱ欧米と日本が強いね!」
いま世界の自動車産業で先頭を走っているのは欧米と日本です
これは早くから自動車産業に力を入れてきたためです
「100年ちかくやってるからね」
そこで中国は、売る側としても世界をリードしたいと考えていました
「そりゃそうだ、買うだけじゃね・・」
しかし、自動車市場への参入には大きな障壁がありました
「しっかりコピーしてるんじゃないの?(^^;)」
ガソリンエンジンなどの内燃機関は構造が複雑で、無数の部品を必要とします
この製造や組み立てには永年培った高度なテクニックとノウハウが必要です
「さすがにエンジンまではコピーできなかったってわけか・・(^^;)」
世界に通用する信頼性の高い車を開発するには、多くの経験と時間が必要なのです
「世の中そんなに甘くないね」
しかし、EVがこれを変えた
「どういうこと?」
車を作るには3万点以上の部品が必要だと言われています
「そうなんだ!」
しかしEVはその6割ぐらいの部品で出来てしまう
「あらまっ!」
そして、無くなる部品のほとんどが駆動系なのです
構造が複雑で高度な技術が必要なエンジンやトランスミッションがすべて要らない
「そっか!」
また販売されているEVの数は少なく、普及率はまだ低い
「なるほど、なるほど!」
先頭を切って販売をしているメーカーですら10年ほどしか経っていません
「100年の差がゼロになっちゃっうわけだ!」
PM2.5などの公害に悩んでいた中国にとって、排気ガスを出さないEVへの転換は、国の施策としても打ち出しやすい環境でした
「一石二鳥ですな!」
「中国の事情はわかったけど、ヨーロッパはどうなの?」
欧州ではHV化が進んでいません
「そう言ってたね」
これはHVよりもクリーンディーゼルの方が好まれたからだと言われています
「へぇ~」
元々長距離運転の機会が多い欧州では、燃費が良くてトルクがあり、高速走行が楽なディーゼルエンジン車が普及していました
欧州の各メーカーは、NOxを出さないクリーンディーゼルを開発することで環境基準をクリアしてきました
「なるほど・・」
しかし、どんどん厳しくなる規制に対して、このクリーンディーゼルでは対応できなくなってしまったのです
「だからVWは改ざんしちゃったんだ」
HV化はすでに日本が先行しており、そちらに舵を切るには遅すぎた
「そりゃそうだ(^^;)」
また「脱炭素社会」となればHVやPHEVですら将来が危ぶまれます
「だからEVってことか・・」
「でも急にEVって言われても買う方は戸惑うよね! まず充電はどうすんのよ?」
日本には現在約1万8,000か所(約3万基)の充電スポットがあります
そのうち高速充電できる施設は約7,800か所と言われています
「それってガソリンスタンドと比べるとどうなのよ!」
現在日本のガソリンスタンドの数は現在約3万か所と言われています
「ふ~ん、だいぶん追い付いてきてるんだ」
国や自治体もインフラ整備に力を入れており、今後も増えることが予想されます
逆に、ガソリンスタンドはここ10年で約3割減っています
ピーク時の約6万か所から比べると、いまは半分しかありません
「確かに閉鎖してロープが張ってあるGSをよく見かけるよね」
原因は規制緩和による過剰な価格競争、消防法の改正によるタンク入れ替え、燃費の良い車の普及があげられます
「タンクの入れ替え工事が高いからやめるって話はよく聞くね」
今後HVやEVが普及した場合には、さらに減る可能性があります
「採算取れないってわけだ」
すでにガソリンスタンドがない、或いはほとんどない市町村が増えています
「そうなの?」
2017年のデータによると、ガソリンスタンド過疎地(3か所以下)と言われる地域が、全国に302市町村あります
「へぇ~、そうなんだ・・」
そう言った地域では、遠くのガソリンスタンドに行かなくても自宅で充電できるEVの方が使い勝手が良いとも言えます
「まあ確かに・・、夜中に充電していればいいからね」
「でもそれは戸建に住んでるって前提でしょ!」
いまEVを買う人の9割が戸建居住者と言われています
「ほ~ら、見なさい!マンション住まいには難しいって!」
現在のところ充電施設を完備している集合住宅はまだ僅かです
新築でも充電施設を備えているのは1%未満だと言われています
「じゃあマンション住まいのEV所有者はどうしてるの?」
近くのディーラーや近所の公共充電施設を利用されていることが多いようです
「面倒くさいだろうね(^^;)」
東京都には集合住宅が約13万棟あり、都民の6割が居住していると言われています
国は充電設備の設置費用を補助する制度を設けていますが、この制度を使って設置した集合住宅はほんのわずかだと言われています
「なんで?」
ひとつは設置費用が高いこと
戸建では数万~10万円程度ですが、集合住宅では100~200万円かかると言われています
「結構かかるね」
それと住民全体の合意がなかなか得られないというのも大きな原因です
「乗らない人には関係ないってことか・・」
設置費用はどこが出すのか、管理や予約をどうするのか、使用する電気代は誰が払うのか、これらの問題が解決されないと管理組合の合意を得られないのです
「結構難しいね・・(^^;)」
しかし国の補助を受けることで、設備費は2~3割の負担で済む場合もあります
自治体によってはその残額も補助してくれるところもあるのです
「へぇ~、そりゃ凄い!」
また電力会社やマンション管理会社には、管理組合への提案、調査から工事までの手続き、補助金申請費用などを無料で行ってくれるところもあります
「これから儲かる事業だからね・・(^^;)」
充電器を設置した集合住宅は、将来の資産価値が上がるとも言われています
「乗らない人にもメリットあるよってわけね・・(^^;)」
~つづく~