先月のこと・・
物流業務を委託している会社(3PL)が来て、「物流の2024年問題」について説明があり、今後の対応について提案がありました
内容を、ざっくり言うと・・
- 少子高齢化などで、いまトラックドライバーが不足している
- 加えて2024年4月からは、ドライバーの残業時間が、年間960時間に規制される
- いまは規制がないので何とか回しているが、労働時間が短くなると、これまでの日数では荷物を運べなくなる
- なので、配送日数(リードタイム)を1日延長させて欲しい
ということでした
トラックドライバーは、本当に不足しているのか?
説明のあとに、全日本トラック協会のホームページ(全日本トラック協会 | Japan Trucking Association (jta.or.jp))を覗いてみると・・
確かに、トラックドライバーが不足しているみたいです
このグラフは「トラックドライバー」と「全職業」の「有効求人倍率」を比べたものですが、その差は約2倍!
トラックドライバーの「有効求人倍率」が2.11倍ってことは、求人数(来てほしい数)に対して、求職者数(なりたい人)が半分もいないってことですから、かなりの人手不足ってことになります
原因は様々あるとは思いますが、やっぱり低収入や長時間労働のイメージがあるんですかね?
トラックドライバーの労働時間はどれぐらい?
これは「トラックドライバーの1か月の拘束時間」を調査したものですが、令和3年度では、ひと月275時間未満が約2/3、残りの1/3が、275時間以上という結果になっています(住友電工システムソリューション (traffic-probe.jp)より)
ちなみに、1か月の拘束時間が「275時間」というのは、こんな感じ
通常勤務:8.0時間✕22日=176時間
休憩時間:1.0時間✕22日= 22時間
残業時間:3.5時間✕22日= 77時間
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合計 275時間
※ここでは1か月の労働日数を22日で計算しています
通常のサラリーマンだと、毎朝8時半に出社して、毎晩9時に退社するイメージですね(一日の半分以上会社にいる感じ)
でもこれは、時間外労働が「960時間上限」になった時と同じ条件なんですよね
じゃあ、今の実態はどうなの?っていうと・・
例えば「ひと月320時間」拘束されているドライバーさんの場合は・・
通常勤務:8.0時間✕22日=176時間
休憩時間:1.0時間✕22日= 22時間
残業時間:5.5時間✕22日=121時間
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合計 319時間
内勤のサラリーマンなら、毎朝8時半に出社して、毎晩11時に退社するのと同じです
これが毎日だと、相当キツイかも・・(でもこれが実態ってことですよね)
時間外労働が上限規制されると何が起きるの?
一つは、運送・物流業者の売上・利益が減少します
規制によって1日に運べる荷物の量が減るため、もし運賃を上げなければ、収入が減少してしまうからです
ただ値上げをしたくても、荷主は運賃の安い業者へ依頼しようとするために、運送業者は荷主と価格交渉しにくい現状があります
もう一つは、労働時間の減少で、ドライバーの収入が減少するという問題です
トラックドライバーは走行距離に応じて運行手当が支給されるため、労働時間の規制によって走れる距離が短くなれば、当然ながら収入も減少してしまいます
収入が低くなれば、離職に繋がる可能性もあり、労働力不足に拍車がかかる恐れもあります
住友電工システムソリューション (traffic-probe.jp)より抜粋引用
また荷主にとっては、「必要なものが必要な時に届かない」「輸送を断られる」などの可能性も出てきます
前出の「全日本トラック協会」によると、2024年問題に対して何も対策を行わなかった場合には、輸送能力が14.2%不足してしまうと試算されているそうです
また、2030年には34.1%も、能力不足になってしまうんだとか・・
2024年問題解決のためには、どうすれば良いのか?
トラックドライバーが長時間労働になるのは、以下のことが主な原因になっていることがわかっています
- 着(発)荷主で、荷待ち時間が発生する
- 納品までのリードタイムや、時間指定等の条件が厳しい
- 積込みや荷卸しが手荷役で、作業時間が長時間となる
- 荷主からのオーダーに合わせた、効率的な配送計画が作れていない
これらを解消することができれば、ドライバーさんの長時間労働を減らすだけでなく、輸送業務の効率化を図り、生産性を上げることができます
そこで全日本トラック協会では、荷主や3PLと連携して、次のようなことに取り組もうとしています
そのひとつが、配送日の一日延長だったわけです
たまたま私が物流に携わっていたので、現状を知ることができましたが、物流に関係ない人は、知らない人も多いのではないでしょうか?
いまの時代、物流を抜きにして成り立つ産業はひとつもありません
トラックドライバーさんの不断の努力によって世の中が回っていることを知り、すべての人が少しづつでも協力する気持ちが必要だと感じました
ちなみに、2024年問題は「物流業界」だけではありません
日本の物流現場から|ビジネス+IT (sbbit.jp)より
世の中は、こういった「縁の下の力持ち」の存在があって、回っているんですね