独仏的クルマ生活

ドイツ車のような奥さんとフランス車のような私のカーライフエッセイ

#94 物流の2024年問題

 

先月のこと・・

物流業務を委託している会社(3PL)が来て、「物流の2024年問題」について説明があり、今後の対応について提案がありました

内容を、ざっくり言うと・・

  • 少子高齢化などで、いまトラックドライバーが不足している
  • 加えて2024年4月からは、ドライバーの残業時間が、年間960時間に規制される
  • いまは規制がないので何とか回しているが、労働時間が短くなると、これまでの日数では荷物を運べなくなる
  • なので、配送日数(リードタイム)を1日延長させて欲しい

ということでした

トラックドライバーは、本当に不足しているのか?

説明のあとに、全日本トラック協会のホームページ(全日本トラック協会 | Japan Trucking Association (jta.or.jp))を覗いてみると・・

確かに、トラックドライバーが不足しているみたいです

このグラフは「トラックドライバー」と「全職業」の「有効求人倍率」を比べたものですが、その差は約2倍!

トラックドライバーの「有効求人倍率」が2.11倍ってことは、求人数(来てほしい数)に対して、求職者数(なりたい人)が半分もいないってことですから、かなりの人手不足ってことになります

原因は様々あるとは思いますが、やっぱり低収入や長時間労働のイメージがあるんですかね?

トラックドライバーの労働時間はどれぐらい?

これは「トラックドライバーの1か月の拘束時間」を調査したものですが、令和3年度では、ひと月275時間未満が約2/3、残りの1/3が、275時間以上という結果になっています(住友電工システムソリューション (traffic-probe.jp)より)

ちなみに、1か月の拘束時間が「275時間」というのは、こんな感じ

通常勤務:8.0時間✕22日=176時間

休憩時間:1.0時間✕22日=  22時間

残業時間:3.5時間✕22日=  77時間

ー---------------

合計           275時間

※ここでは1か月の労働日数を22日で計算しています

通常のサラリーマンだと、毎朝8時半に出社して、毎晩9時に退社するイメージですね(一日の半分以上会社にいる感じ)

でもこれは、時間外労働が「960時間上限」になった時と同じ条件なんですよね

じゃあ、今の実態はどうなの?っていうと・・

例えば「ひと月320時間」拘束されているドライバーさんの場合は・・

通常勤務:8.0時間✕22日=176時間

休憩時間:1.0時間✕22日=  22時間

残業時間:5.5時間✕22日=121時間

ー---------------

合計           319時間

内勤のサラリーマンなら、毎朝8時半に出社して、毎晩11時に退社するのと同じです

これが毎日だと、相当キツイかも・・(でもこれが実態ってことですよね)

時間外労働が上限規制されると何が起きるの?

一つは、運送・物流業者の売上・利益が減少します

規制によって1日に運べる荷物の量が減るため、もし運賃を上げなければ、収入が減少してしまうからです

ただ値上げをしたくても、荷主は運賃の安い業者へ依頼しようとするために、運送業者は荷主と価格交渉しにくい現状があります

もう一つは、労働時間の減少で、ドライバーの収入が減少するという問題です

トラックドライバーは走行距離に応じて運行手当が支給されるため、労働時間の規制によって走れる距離が短くなれば、当然ながら収入も減少してしまいます

収入が低くなれば、離職に繋がる可能性もあり、労働力不足に拍車がかかる恐れもあります

住友電工システムソリューション (traffic-probe.jp)より抜粋引用

また荷主にとっては、「必要なものが必要な時に届かない」「輸送を断られる」などの可能性も出てきます

前出の「全日本トラック協会」によると、2024年問題に対して何も対策を行わなかった場合には、輸送能力が14.2%不足してしまうと試算されているそうです

また、2030年には34.1%も、能力不足になってしまうんだとか・・

2024年問題解決のためには、どうすれば良いのか?

トラックドライバーが長時間労働になるのは、以下のことが主な原因になっていることがわかっています

  • 着(発)荷主で、荷待ち時間が発生する
  • 納品までのリードタイムや、時間指定等の条件が厳しい
  • 積込みや荷卸しが手荷役で、作業時間が長時間となる
  • 荷主からのオーダーに合わせた、効率的な配送計画が作れていない

これらを解消することができれば、ドライバーさんの長時間労働を減らすだけでなく、輸送業務の効率化を図り、生産性を上げることができます

そこで全日本トラック協会では、荷主や3PLと連携して、次のようなことに取り組もうとしています

そのひとつが、配送日の一日延長だったわけです

たまたま私が物流に携わっていたので、現状を知ることができましたが、物流に関係ない人は、知らない人も多いのではないでしょうか?

いまの時代、物流を抜きにして成り立つ産業はひとつもありません

トラックドライバーさんの不断の努力によって世の中が回っていることを知り、すべての人が少しづつでも協力する気持ちが必要だと感じました

ちなみに、2024年問題は「物流業界」だけではありません

日本の物流現場から|ビジネス+IT (sbbit.jp)より

世の中は、こういった「縁の下の力持ち」の存在があって、回っているんですね