この夏休み中に、高速道路の逆走による死傷事故が相次いで起きてしまいました
<8月15日、東北自動車道下り線の黒磯パーキング付近>
逆走してきた軽ワゴン車と乗用車が正面衝突し、双方のドライバーが死亡、乗用車に乗っていた2人の子供は大けがをして病院に搬送されました(命には別状なし)
高速道路で“Uターンして逆走”?東北道で正面衝突2人死亡 (asahi.co.jp)より
逆走していた軽ワゴン車は、事故現場から2.5km先でUターンした可能性があるそうですが、なぜUターンしたのかは分かっていません
<8月16日、東北自動車道上り線の岩舟ジャンクション付近>
逆走してきた乗用車とオートバイが衝突し、オートバイの運転手が足に大けがを負いました
逆走した乗用車はその場からUターンして立ち去ったのですが、警察が捜索した結果、81歳の男性が運転していたことがわかりました
家族の話では、男性は毎日のように運転していましたが、今まで事故を起こしたことはなかったといいます
ただ、普段から東北自動車道を使うことはなく、免許更新時の認知機能検査では「気をつけて」と言われていたそうです
【独自】東北道で81歳男性が“逆走”しバイクと衝突FNNプライムオンラインより
高速道路の逆走はどれぐらい危険なのか?
下のグラフは、高速道路での「事故全体の状況」と「逆走事故の状況」を比較したものです
全体では死傷事故が1割なのに、逆走事故になると半分近くが死傷事故になります
※死亡事故は全体事故の40倍、死傷事故だと全体事故の5倍
NEXCO 西日本の高速道路・交通情報 渋滞・通行止め情報 (w-nexco.co.jp)より
双方が80km/hで走っていれば相対的に160km/hで衝突したのと同じ、一方が50km/hまで減速したとしても130km/hでぶつかることになるわけですから、そりゃ無事で済むわけがありません!
高速道路の逆走はなぜ起きるのか?
①判断力の低下
高速道路の逆走を調査・分析した資料によると、高速道路の逆走の約7割が65歳以上の高齢者だったそうです(75歳以上だけみても半分近い・・)
NEXCO 西日本の高速道路・交通情報 渋滞・通行止め情報 (w-nexco.co.jp)より
加齢により判断力が低下してくると、想定外のことが起きた時にパニックになりがちです
高速道路で行き先を間違えた場合、普通は次の出口まで行って引き返すという判断をしますが、高齢で判断力が低下してしまうと、すぐにミスを回復しようと逆走につながる運転をしてしまうことがあります
高齢ドライバーが高速道路を逆走する3つの理由 | (kooansin.or.jp)より引用
②認知機能の衰え
国土交通省のデータによると、高速道路を逆走したドライバーのうち「高速道路の走行及び逆走の認識がなく認知症の疑い等がある例」が16%、「逆走の認識がなく認知症の疑いがある例」が4%となっています
つまり、逆走したドライバーの5人に1人は「認知機能の低下」が見られたわけです
高齢ドライバーが高速道路を逆走する3つの理由 | (kooansin.or.jp)より引用
③運転技術の過信
高齢のドライバーは
- 視力の低下により周囲の状況が認識しづらい
- 反射機能の低下により咄嗟の対応が遅れる
- 体力の衰えから長時間にわたる運転が難しい
- 運転が自分本位で、周りの状況を客観的に把握できなくなる
という特性が見られるそうです
ところが、高齢ドライバーは運転に絶対の自信を持っていることが多く、加齢による心身の衰えを認めることが難しいようです
長年の運転経験による自信から、咄嗟の事態に自分本位の判断をしてしまい、逆走のような危険運転に繋がってしまう可能性があります
高齢ドライバーが高速道路を逆走する3つの理由 | (kooansin.or.jp)より引用
④その他
運転操作に問題がないはずの65歳以下のドライバーが逆走するケースが、約3割もあるというのも注意すべきポイントです
高速道路の走行に慣れていないドライバーが咄嗟の判断を誤ったり、ナビの案内を注視し過ぎて進入禁止の標識を見落とすケースなどが考えられます
高速道路の逆走はどこで起きているのか?
高速道路での逆走は、その約6割が「インターチェンジ(IC)」あるいは「ジャンクション(JCT)」付近で発生しています
NEXCO 西日本の高速道路・交通情報 渋滞・通行止め情報 (w-nexco.co.jp)より
具体的な逆走のパターンは以下のとおりです
インターチェンジ付近
NEXCO 西日本の高速道路・交通情報 渋滞・通行止め情報 (w-nexco.co.jp)より
国土交通省や各高速道路公団によって様々な対策が施され、逆走件数は徐々に減りつつありますが、それでも2日に1件は逆走が起きています
逆走車を避けるにはどうしたらいいか?
「高速道路だから対向車は来ない」という思い込みを捨て、「いつ何が起きるかわからない」という気持ちで、緊張感を持って走りましょう!