前々回・前回と、連続してミドルサイズSUVの話を書きましたが・・
今回はモータージャーナリストの評価が高い「日産エクストレイル」のことを調べてみたいと思います
歴代エクストレイル
初代エクストレイルは、2000年に発売されました
「4人が快適で楽しい、200万円の使える4駆」をコンセプトに、直線基調のスタイリッシュなボディと、大人4人が快適に移動できる室内空間と、広いラゲッジスペースを持つ、本格的なオフロード4WD車として開発されました
搭載されたエンジンは、2.0L 4気筒NAエンジンと、280psを誇る2.0L 4気筒ターボエンジンで、FFと電子制御カップリング式4WDの組み合わせ
背の高いボディ、大きなガラスエリア、四隅が把握しやすいボディ形状は、取り回しもよく、翌年には国内SUV登録台数でトップに躍り出ます
日産エクストレイルの歴代モデル【グーネット】 (goo-net.com)より
2代目エクストレイルは2007年に登場しました
開発コンセプトは「アウトドアスポーツを最大限満喫するためのタフ・ギア」
初代からの直線基調を受け継ぎながら、ボリューム感のあるボディになっています
搭載されたエンジンは、従来の2.0Lガソリンターボモデルが廃止され、2.0L 4気筒NAエンジンと2.5L 4気筒NAエンジン、新たに追加された2.0L 4気筒ディーゼルターボエンジンに、FFとフルタイム4WDが組み合わされていました
フルタイム4WDは「ヒルスタートアシスト」や「ヒルディセントコントロール」機能などを追加し、より優れた悪路走行性を発揮
またトランスミッションは4ATからエクストロニックCVTへ、サスペンションはフロントストラット、リヤはマルチリンクへ変更されたことで、伸びやかな加速と優れた燃費、路面の追従性を実現していました
先代が築いたSUVトップの座は、この2代目もしばらく引継ぐことになります
日産エクストレイルの歴代モデル【グーネット】 (goo-net.com)より
3代目エクストレイルは、ルノーと共同開発した「CMF」プラットフォームをベースに、2013年に発売されました
日産共通の「Vモーショングリル」を採用し、いままでの直線基調から丸みを帯びたボリューム感あるボディデザインへ一新されました
先代から続いていた国内SUVトップの座は、2010年で途切れていました
そんなこともあってか、二代続いたオフロード走行を意識したコンセプトから、3代目はオンロードを主体にしたアーバンSUVとして開発され、全長・全幅ともにボディも大きくなりました
搭載されるエンジンは、クリーンディーゼルエンジンが無くなり、新たにハイブリッド車が登場しています
最先端の安全運転支援システムや長時間のドライブでも疲れない「スパイナルサポート機能付シート」、走行状況に合わせトルク・ブレーキをコントロールする「アクティブライドコントロール」など、さまざまな先進技術が搭載されたのも大きな特徴でした
日産エクストレイルの歴代モデル【グーネット】 (goo-net.com)より
そして2020年に登場したのが、4代目(新型)エクストレイルという訳です
ちなみに初代からの年間販売台数は以下のとおりです
エクステリア
あるときは堅牢に、あるときは妖艶に
新型のエクステリアは「タフギアと洗練の融合」がデザインテーマになっています
初代・2代目のタフなイメージと、3代目のアーバンSUVのイメージをうまく融合させたってことですかね
全体的に直線基調の四角いボディですが、ドアパネルやフェンダーには丸みを持たせているので、シャープだけどゴツゴツしてない印象ですね(万人受けするデザイン?)
ただヘッドライトやフロントバンパーは、如何にもオフロードっぽいですし・・
「アドベンチャーパッケージ」を選ぶと、もっと迫力あるフォルムになります
インテリア
コックピット周りは皮やソフトパットが多用されていて、かなり質感が高いですね(これならマツダに負けてない?)
昔の「タフギア」のイメージからは想像できないほどの高級感が漂ってます(いやいや、こりゃ下手なセダンより高級じゃね?)
シートだってナッパレザー(タン)が選べるし・・
ちゃんと防水シート生地も選ぶことができます!
ナビ画面は、12.3インチワイドディスプレイを採用(情報を同時に表示できる3分割画面も可能)
「NissanConnect サービス」の多様なコンテンツも楽しむことができます
ステアリングは本革巻きだし、シートヒーターも付いてるし・・
センターコンソールの質感は高いし、使い勝手も良さそうです
スピードメーターも見やすくて、自分にあったモードに切り替えることができます
いや~、今どきの液晶メーターは便利になってますなぁ!
運転席はメモリー付きパワースライドシートだし、後席にはサンシェードまでついてるし、これはもう高級車と言ってもいいですね
ラゲッジスペース
ラゲッジは、ホイールハウス間幅が広く、荷室容量はクラストップの575Lを確保しています
このように9.5インチのゴルフバッグを4個収納することもできます(BMW420GCでは到底無理!)
荷室には100V AC電源(1500W)を備えているので、アウトドアで電気毛布や冷蔵庫、電気ポットなどが使用できます(車中泊には持って来い!)
また、万一の災害時には非常用電源としても活用できます
後席を倒すと、ほぼフラットな床面が現れます
これは、OPのフロアカバー(22,020円)を敷いた写真
実際の寸法はというと・・
① ラゲッジルーム荷室高(標準時) 約 841mm
② ラゲッジルーム荷室長 後席を最前端にスライド 約1,176mm後席を最後端にスライド 約 951mm
③ ラゲッジルーム荷室長 後席を折りたたんだとき 約1,821mm
④ ラゲッジルーム荷室幅(ストラット間) 約1096mm
⑤ ラゲッジルーム荷室幅(最大) 約1,326mm
後席を倒した時の前席までの距離は182cmですから、これでも十分寝られますが、前席を少し前にずらせばもっと余裕があります
あと、前に最小荷室幅は130cmと書きましたが、110cmの間違いでした(汗)
自動ゲート(ハンズフリー機能付き)も便利です
走行性能
今回の新型(4代目)エクストレイルの目玉は、何と言っても全車「e-POWER」になったことでしょう!
以前から「ノート/オーラ」や「キックス」「セレナ」に搭載されている日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER」ですが、第二世代に進化して、よりパワフルに、なめらかに、静かになりました
発電用のエンジンには「VC-TURBO」という新エンジンを搭載
圧縮比を8.0〜14.0まで可変させることで、低燃費化、高出力化、静粛性向上を高次元で実現し、ハイパワーモーターに余裕ある電力を供給します
また路面状況を検知してロードノイズに隠すようエンジンを起動するので、エンジン音が気になりにくいような工夫をしています
そして極めつけは「e-4ORCE」と呼ばれる4WD機構
前後2つのモーターと4輪のブレーキを瞬間的に統合制御することで、思ったとおりに曲がれるスムースなドライビングと、高級セダンのような快適性を実現し、かつてないほどの新感覚を味わえるそうです
具体的には、2つのモーターが前後の駆動力と回生ブレーキを絶妙に制御し、前のめりになる不快な揺れを抑制します
ストップ&ゴーが多い市街地では、高級セダンと比べても上質だと感じる乗り心地なんだとか・・
また、前後のトルク配分と4輪のブレーキを統合制御により、人間の感覚をはるかに超える瞬間的な速さで緻密に車体をコントロールするので、カーブでアクセルを踏んでも外に膨らみにくく、これまで以上に思い通りのハンドリングを楽しむことができるそうです
これこそ、電気(モーター)自動車の真骨頂ってところですね
このシステムは、当然雪道でもしっかりとクルマをコントロールするので、雪道を走る時の安心感はたぶん半端ないですね!
パワースペックは以下のとおり
発電用エンジン:1.5L3気筒エンジン(最高出力144ps/最大トルク250Nm)
駆動モーター :フロントモーター(最高出力204ps/最大トルク330Nm)
リアモーター (最高出力136ps/最大トルク195Nm)
このスペックを見る限り、4WDのパワーは凄いですね!
運転支援
最新の日産車ですから、当然のことながら360°セーフティアシスト(全方位運転支援)が付いています
●前方運転支援
・インテリジェント エマージェンシーブレーキ
(車両や歩行者を検知して衝突回避をアシスト)
・インテリジェント FCW
(前方衝突予測警報:2台前を走る車両を検知し注意を喚起)
・アダプティブLEDヘッドライトシステム
(対向車や先行車が眩しくならないようにハイビームをキープ)
・インテリジェント DA
(ふらつき警報:注意力が低下すると休憩を提案)
・標識検知機能
(進入禁止標識、最高速度標識、一時停止標識を検知して注意を喚起)
●側方運転支援
・インテリジェント LI+LDW
(車線逸脱警報とともに、車線内に戻すようステアリング操作をサポート)
・インテリジェント BSI+BSW
(レーンチェンジの際のヒヤリ防止を支援)
●駐車時運転支援
・インテリジェント アラウンドビューモニター
(空から見下ろしているかのような映像で駐車をアシスト)
・踏み間違い衝突防止アシスト
(踏み間違いによる衝突回避をアシスト)
●後方運転支援
・RCTA
(後退時のヒヤリ防止を支援)
・インテリジェント ルームミラー
(カメラ映像でいつでもクリアな後方視界を確保)
・エマージェンシーストップシグナル
(緊急ブレーキ時にストップランプが点滅し、追突の危険性を軽減)
●その他の運転支援装備
・SOSコール
(緊急時に、位置情報・センサー情報とともに専門のオペレータにつながる)
・オートブレーキホールド
(停止時に踏み続けていなくても、ブレーキ力をキープ)
●プロパイロット
・車間距離のキープをアシスト
(前を走行するクルマを検知し、一定の車間距離を保つ)
・車線中央のキープをアシスト
(白線を検知し、走行車線の中央を走行する)
・カーブでの車速のコントロールをアシスト
(地図情報からカーブの大きさを把握して、車速をコントロール)
・プロパイロット緊急停止支援システム
(使用中にドライバーの反応がない時は、自動で減速・停止する)
燃費
燃費はグレード別に以下のとおりです
2WD 4WD 4WD(3列)
WLTCモード : 19.7km/L 18.4km/L 18.3km/L
市街地モード : 17.3km/L 16.1km/L 16.1km/L
郊外モード : 21.7km/L 20.5km/L 19.9km/L
高速道路モード : 19.7km/L 18.3km/L 18.4km/L
最近のハイブリッドにしては、いい方とは言えませんね
車両価格
2WD、4WD、4WD(3列シート)で、以下のグレードが用意されています
※2024年2月現在
ちなみに「AUTECH」はよりアーバン風に、「エクストリーマーX」は本格オフローダー
風に変わります
「AUTECH」
ちょっと洗練された大人の雰囲気って感じですかね
「エクストリーマーX」
こちらはタフなギアとして使い倒せ!って感じですね
おすすめグレード
まずは、試乗動画を見てみましょう!
「走る・曲がる・止まる」では間違いなくトップクラスみたい
「走行性、静粛性、乗り心地、使い勝手など」を含めても、最近のSUVの中でトップ3に入る完成度だそうです
パワートレーンは1種類しかないので、FFか4WD(e-4ORCE)のどちらにするかですが、安定したコーナリングや上質な乗り心地を体験したいなら4WD一択ですね!
先に紹介した快適装備や運転支援などをフルに付けたいなら「Gグレード」
「Xグレード」でも「走る・曲がる・止まる」は十分堪能できますが、パノラミックビューモニターやデジタルインナーミラーを付けると「Gグレード」との価格差は約30万円になりますから、敢えて「Xグレード」にする意味が無くなります
ってことで、おすすめは「Gグレード」の4WD(e-4ORCE)、475万円かな?
これにナッパレザーを付けると15万円プラスになり、諸経費込々で総額550万円弱
高級車っぽくなったと話しましたが、お値段も十分高級車ですな
初代エクストレイルが登場した時は「200万円の使える4駆」がコンセプトでしたが、四半世紀が過ぎて価格は倍になり、若者が簡単に買えるクルマじゃなくなりましたね
あっ!今はサブスクや残価設定ローンがあるから、大丈夫か・・
(追記)
日産は初めて量産電気自動車(BEV)を世に送り込んだメーカーですが、充電の課題や航続距離の問題で日本ではまだまだ普及していません
そこでシリーズハイブリッド車を通じて、電気モーターの加速性能や静粛性、スタビリティの高さを知ってもらい、EVファンを増やしているところが凄いですね
一時言われたエンジン音の問題もかなり改善されているようですし、あとは燃費の問題さえ改善できれば、また大きくシェアを伸ばしそうな気がします
「がんばれ!ニッサン!」