独仏的クルマ生活

ドイツ車のような奥さんとフランス車のような私のカーライフエッセイ

#152 時速194kmのクルマを制御できる?

3年前に大分市の県道で、「時速194km」で車を運転して死亡事故を起こしたとして、当時19歳の被告が「危険運転致死罪」に問われているニュースが流れましたが・・

一般道を時速194キロで爆走して死亡事故、なぜこれが「危険運転」じゃない  | JBpress (ジェイビープレス)より

その時に被告が運転していたのは「BMW2シリーズ」だったそうで「乗り始めたばかりのドイツ車が何キロ出るか試したかった」らしい・・

同じBMWに乗る人間としては、それを公道、それも一般道でやるなんて、もう狂ってるとしか思えません

 

事故が起きたのは2021年2月9日の午後11時ごろ

大分市内の通称「40メートル道路」と呼ばれる片側3車線の県道交差点で、右折する車に対向車線を直進してきた乗用車が衝突しました

右折車を運転していた会社員、小柳憲さん(当時50歳)がこの事故で死亡

その後の調べで、衝突直前の直進車の走行速度は時速194km、法定速度(60km/h)の3倍を超えるスピードが出ていたことがわかりました

【再考・犯罪被害者】<特報>時速194キロ、危険運転ではないのか - 産経ニュースより引用

 

時速194kmってことは、100mを1.86秒、200mを3.7秒で駆け抜ける速さです

制限速度の60km/hで走っていたら100m進むのに6秒、200mなら12秒かかりますから、十分右折できる距離だと思って曲がり始めたら、もう目の前にクルマが迫ってたって感じでしょうね

また現場にはブレーキ痕が残っていなかったらしい(この時点で制御能力がなかった気がしますが・・)

なので、仮にフルブレーキしていたらどうだったんでしょう

自動車の「停止距離」は「空走距離」+「制動距離」で計算されますが、速度が速いほどその距離は長くなります

普通自動車の速度と停止距離の目安(路面が乾燥し、タイヤの状態がよい場合)

制動距離と空走距離とは。停止距離の計算方法|チューリッヒより

速度が2倍になると「空走距離」は2倍、「制動距離」は4倍(2の2乗)と言われていますから、約200km/hで走っている場合は、止まるのに400m近くかかることになります

空走距離:28m(100km/hの場合)✕2倍=56m

制動距離:84m(100km/hの場合)✕4倍=336m

停止距離:56m+336m=392m

これじゃ100m手前、いやいや200m手前でクルマや人がいることに気づいても、絶対に止まれない!ってことですよね

 

交差点での右直事故の場合、一般的には右折車の側に重過失が問われます

しかし捜査に当たった大分県警は、直進車が「制御困難な高速度」で右折車に衝突したと判断し、2021年5月「危険運転致死」の疑いで大分家庭裁判所に送致、同家裁は大分地検への送致を決定しました

ところが、事故から約1年半後の2022年7月、大分地検は直進車が「まっすぐに走れていた」ことを理由に「制御できないほどの速度とは言えない」と判断し「危険運転致死罪」よりも罪が軽い「過失運転致死傷罪」で起訴しました

一般道を時速194キロで爆走して死亡事故、なぜこれが「危険運転」じゃない | JBpress (ジェイビープレス)より引用

 

これに対して遺族は2022年年8月に記者会見を開いて「危険運転致死罪」の適用が見送られた理不尽さを訴え、「危険運転致死罪」への変更を求める上申書を地検に提出

翌月には補充捜査を求める署名活動を行い、10月には全国の賛同者から集まった約2万8千筆を地検に提出しました

これによって地検と県警が当時の事故状況を再現する補充捜査を実施、わずか2週間後の12月には「危険運転致死罪」への変更を大分地裁に請求して、同月20日に認められました

【再考・犯罪被害者】<特報>時速194キロ、危険運転ではないのか - 産経ニュースより引用

 

2024年11月5日に大分地方裁判所で開かれた初公判では、検察が「現場の道路を194キロで走行した場合、路面の状況から車体に大きな揺れが生じるなどしハンドルやブレーキ操作を誤るおそれが高まる」などとして制御困難な高速度だったと主張しました

また「道路の構造上、対向する右折車両が来ることが想定される」などとして車両の通行を妨害することが確実という認識があったと述べました

一方、弁護側は「被告は車線から逸脱することなく直進することができており、自分の生命や身体の危険を冒してまで通行を妨害する目的を積極的に抱く動機はない」などとして「危険運転致死罪は適用できず、成立するのは過失運転致死罪だ」と反論しました

今後、大分地裁裁判員裁判に向けて証拠や争点などを絞り込む公判前整理手続きを行い、初公判を合わせて6回の期日を経て11月28日には判決が言い渡される見込みです

時速194キロ死亡事故 弁護側“危険運転致死罪にあたらず”|NHK 大分県のニュースより引用

 

そもそも「危険運転致死罪」とは、以下の場合に適用されます

  1. アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
  2. その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
  3. その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
  4. 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  5. 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  6. 通行禁止道路(道路標識等により車両の通行が禁止されている道路又はその部分)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
  7. 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
  8. 高速自動車国道又は自動車専用道路において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう)をさせる行為

危険運転致死傷罪が適用される場合とは? | JAF クルマ何でも質問箱より

 

今回の事故は、主に「2.」が争点になっていると思うのですが、「まっすぐに走れた」ってだけでなんで制御できたってなるのか、まったく意味がわからない

制御できるってのは、「走る」「止まる」「曲がる」がちゃんとできることを指すんじゃないの?

車だけじゃなく人や自転車も通行する一般道を200km/h近い速度で走れば、緊急回避できないのは当たりまえ

私なんかそもそも一般道をそんなスピードで走るなんて怖くてできないし、レーシングドライバーに「一般道を200km/hで走って制御できますか?」って聞いても「そりゃ無理ですよ!」って言うと思います