前回、前々回で「直噴」と「可変」は大体わかりました
って言うか、随分昔からBMWには搭載されてた技術だったんですね
では最後に「ツインスクロールターボ」について
っとその前に・・
そもそもターボの仕組みが良くわかっていないので、そこからいきます
ターボチャージャーって言うのは、エンジンからの排気を利用してタービンを回転させ、そのタービンの力で吸気を圧縮して、たくさんの空気をシリンダーに送るものです
名前は凄そうだけど最近聞かない「スーパーチャージャー」とは? 最近のクルマに採用されなくなった理由 | AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)より
このタービンを回すには、どうしてもエンジンの回転数を上げる必要があります
回転数が少なければ排気も少ないから・・ 当然です(^^;
これによって起きるのが、いわゆるターボラグってやつですね
低回転からアクセル踏んだ時に、少し遅れてターボの効果が出てくる、あの症状です
回転数が常に高い状態なら問題ないのですが、普通の街乗りでは無理なので、低回転からタービンを回すことが出来れば一番いい訳です
低回転からタービンを回すようにするには、ふたつの方法があるそうです
まず一つ目は・・
タービン自体を小さくして、少ない排気でも回るようにする方法です
低回転からターボ効果が発揮されるので、ターボラグが少なくなります
ただしタービンが小さくなると高出力化に限界があるのと、大排気量エンジンでは容量不足で排圧が上がり、エンジン自体の効率を落としてしまうんだとか
そこで考えられたのが「ツインターボ」です
ターボの数え方:シングル/ツイン/トリプルにシーケンシャル……ターボチャージャーの種類と仕組み|Motor-FanTECH[モーターファンテック]より
小さなタービンを2つ付けて、この問題を解消してしまおうというわけです
ただし、ふたつのターボユニットを装着することになるので、多気筒(6や8気筒)やV型、水平対向のエンジンに向いている方法だそうです
二つ目は・・
タービンに入る排気口を小さくするという方法です
排気口を小さくすると、排気流速が上がり容易にタービンを回すことができるんだそうです(正確にはA/Rという数値を小さくする)
「A/R」:最小断面径「A」とその中心からタービン中心間の距離「R」の比率。この数値が小さいほどレスポンス重視、大きいほど出力重視となる
洗車の時にホースの先を指で絞ると、水の勢いが増して遠くまで飛ばせるようになる、あのイメージですね
ただこれにも弱点があって、排気ガスの流れる通路が狭くなるために、高回転では逆に排気ガスが流れにくくなり、出力の頭打ちが起きてしまうらしい
「う~ん、なかなかうまく行きませんな・・」
「で、どうするの?」
これを解消するため排気口に可変フラップ(動く羽ですね)をつけて、低回転では狭く、高回転では広くする方法(VGターボ)が考えられたそうです
ターボの数え方:シングル/ツイン/トリプルにシーケンシャル……ターボチャージャーの種類と仕組み|Motor-FanTECH[モーターファンテック]より
この方法によってディーゼルエンジンでは問題解決したのですが、ガソリンエンジンでは耐熱性の問題があって装着が難しいらしい
そこで考えられたのが「ツインスクロールターボ」なんだそうです
ターボの数え方:シングル/ツイン/トリプルにシーケンシャル……ターボチャージャーの種類と仕組み|Motor-FanTECH[モーターファンテック]より
その仕組みはと言うと・・、いままでタービンへ排気を導く管が大径1本だったのを、小径の管2本に分けて、2つの排気流でタービンを回すようにしたんです
BMWのツインパワー・ターボ・エンジンとツインスクロールとツインターボとシーケンシャルターボの違い|Motor-FanTECH[モーターファンテック]より
それも、4気筒のうち「1番目と4番目」から1本、「2番目と3番目」から1本の排気管を出すようにしたら、更に大きな効果が得られたんだとか
4気筒エンジンは全部同じサイクルで動いている訳じゃなくて、1サイクルずつズレています(1番目 → 3番目 → 4番目 → 2番目 ってな感じ)
これはエンジンの回転効率を高めたり、振動を減らしたりするためですね
なので、排気も1サイクルずつずれて出てきます(当たり前だけど・・)
それが1本の管に集まると、お互いに邪魔をしあって流れが悪くなるんだそうです
2人用ゲートに、4人がいっぺんに押し寄せる感じですかね
これを2サイクルずれた気筒同士で繋ぐと、排気ガスの干渉が減って流れがスムーズになり、排気流速も上がるんだとか・・
1人用ゲートが2つあって、2列になって順序よく通る感じかな?
ってことで、このツインスクロールとは、
タービンホイールへの排気ガスを導く流路(エキゾーストマニホールドからタービンハウジング)を2つに分けることにより、他気筒からの排気エネルギーの干渉を低減させ、A/Rを小さくすること無く、低回転域でのタービン回転の立ち上がりを早めたもので、低回転域でのレスポンスとパワーを向上させるものである
これも凄い技術ですよね
仕組みを聞きくと「確かに!」と思いますが、これを思いついて、作っちゃうところが凄い!
ただその分コストが上がってしまうのも納得です(^^;
ちなみに、ツインは「2つ」、スクロールは「渦巻」という意味ですよね
2つはわかるけど、渦巻ってなんだろう・・、まっいっか!
とにかく420GCの低速域での扱い易さや、中速域からの気持ちの良い加速が、どうしてできるのかが良くわかりました
それと今回、BMWの「Twin Power Turbo」って何だろうから話が始まった訳ですが、調べて行くうちに内燃機関の精巧さに改めて驚かされました
でも、これを書いていてひとつ思ったことがあります
内燃機関をいかに効率よく動かすか、これを各メーカーが必死に研究・開発してきた結果がいまの素晴らしいエンジンになっている訳ですが・・
電気自動車(EV)ってこれを一気に叩き壊す代物ですね
モーターの大小はあるけど、エンジンのような複雑な構造は一切いらない
バッテリーが重くなるけど、エンジンのようなエネルギーロスはほとんどない
うるさい(心地よい)音もなければ、不快な(小気味いい)ギアショックもない
エンジンオイルの交換もエアフィルターの交換もまったく必要ない
走り出しから100%のトルクを発生するから、トルクカーブがどうとか関係ない
これで航続距離が伸びて、EVスタンドが普及すれば、もはや敵なし
ホント、「ないないづくし」です
こないだ「テスラモデルS」の試乗動画を見てたのですが、コメンテーターが「もう内燃機関には戻れない!」って言ってましたからね
環境破壊や化石燃料の枯渇、エネルギー効率やメンテナンスのことを考えると、迷うことなくEVでしょうね
「ああ、時代は変わっていく・・」